科学

宇宙に輝いた優雅なバラ、ダークエネルギーが影響した「パラ星雲」

2024-10-04

著者: 健二

こちらは「いっかくじゅう座(一角獣座)」の方向に約5000光年先の星雲「パラ星雲(Rosette Nebula)」です。この星雲の直径は約130光年で、中でもこの星雲で約2400万年前に誕生した散開星団「NGC 2244」の星々が輝いています。

この画像はチリのセロ・トロロ天文台にある4メートル望遠鏡に設置された観測機器「ダークエネルギーカメラ(DECam)」の観測データを基に作成されました。DECamはその名が示すように暗黒エネルギーに関する研究を目的とした観測機器で、画素数は約520メガピクセル、直径は約3.5度の広範囲を一度に撮影することができます。最初の目標である暗黒エネルギー研究のための観測は2013年から2019年にかけて実施されました。

バラの花びらを思わせる赤い雲は、星団の豊富な大質量星から放射された紫外線によって電離した水素ガスが光を放つ領域です。大質量星は紫外線だけでなく、星風も生み出しており、星雲の中心部分を浸食して空洞を形成しています。強力な「パラ星雲」からの放出は約1000万年後には消滅すると予想されています。

今回の画像は、米国科学財団(NSF)国立光科学・赤外天文学研究所(NOIRLab)の設立5周年を記念して公開され、NOIRLabは2024年10月1日に一般公開される予定です。宇宙の美しさと神秘を感じられる機会をどうぞお見逃しなく!