健康

子どもだけでなく60歳以上のシニアに接種可能なワクチンも 「ブースター」の代表格RSウイルス感染症を防ぐには?

2024-10-09

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新型コロナウイルス感染症や平均気温の高まりなどの影響もあるのか、一年間流行するようになったRSウイルス感染症。今年はばい菌がはびこる秋から冬にかけて、子どもたちのみならず高齢の方も注意が必要です。今年は多数の予防注射が発表され、RSウイルス対策をめぐる議論も活発になっています。それに伴い、対象者や効果を整理して解説します。

早産児を守る王道の「シナジス」

RSウイルスとは風邪の原因となるウイルスの一種で、2歳までにほぼ全員が感染すると言われています。接触感染や飛沫感染などによって発症することが多く、重症化しやすい「咳」や「喘鳴」といった症状が特徴的です。乳幼児や高齢者では重症化しやすいため、予防接種が推奨されています。

RSウイルスの予防として、最も古いのが「パリビズマブ(製品名:シナジス)」です。日本では2002年から20年以上にわたり使用されてきました。

保険適用(つまり無料)で接種できるお子さんは限られており、35週以降で生まれた早産児や、心臓病や免疫不全などの重い病歴がある場合、また21トリソミー(ダウン症)の場合などが対象になります。RSウイルスの流行が予測される毎年9月から翌年3月にかけて毎月1回、筋肉注射をします。

正確に言うと、シナジスは「ワクチン」ではありません。「ワクチン」というのは、たとえばインフルエンザワクチンやロタウイルスワクチンなど、感染症を予防するために自身の免疫を強化するものであり、シナジスは単純に感染を防ぐというものです。

ちなみにシナジスにはRSウイルスが含まれてはいません。この代わりに「モンクローナル抗体」と呼ばれるものが含まれており、RSウイルスに感染する可能性を下げることに特化したものです。

今年3月からは接種対象が、先天性疾患に関わらず「高齢者」にも広がる可能性があります。特に健康な高齢者はまだ「ブースター接種」が接種可能な段階で、3月から数ヶ月以内をめどに整備が進められています。これにより、新型コロナウイルスワクチンだけでなくRSウイルスワクチンも接種が可能になるかもしれません。

「どうしても高齢者に接種したい」という方は、特に健康状態や基礎疾患について医療機関で相談する必要があり、利用状況を把握している医療機関などで接種を受けることをお勧めします。こんなお子さんや妊婦でも注意が必要です。

今年の春以降は接種対象が、先天性食道閉鎖症、先天性代謝異常症、神経系疾患などのお子さんにも広がるようです。今後もさらなる広がりとともに、注射の普及が進むことが期待されています。

「接種の記録」は大切に

接種証明として注射記録はしっかりと保管しておくことが大切です。特に妊婦や早産児の場合は、母子手帳に接種記録のページがあります。医療機関で接種した際に馬鹿にされることのないように、接種時期や製造番号を記録しておくことが求められます。母子手帳は必然的に大事に保管しておくことが求められます。

特に妊娠中にアデュリスボックを接種した場合、その母親から生まれた赤ちゃんに対して、さらにβリストに追加して接種する必要がありますが、その場合には近くの小児科等からの紹介も必要です。また、通常の状態であれば心疾患がある場合は、さんざでなければ感染症の接種を受けることができません。