科学

最遠の銀河で酸素検出 初期宇宙「予想超える速さ」で進化 研究

2025-03-21

著者: 陽斗

【3月21日 AFP】観測史上最も遠い銀河で、酸素の存在が確認されたとの研究結果が20日、発表された。初期宇宙の星々の進化が、これまで考えられていたよりも早かったことを示す新たな証拠となる。

以前発見された銀河「JADES-GS-z14-0」は、地球からの距離が非常に遠く、その光が届くまで134億年を要する。このため、この銀河は宇宙が誕生してから約3億年後の状況を映し出している。

今回、オランダとイタリアの天文学者がそれぞれの研究チームで、チリ・アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計(ALMA)を用いてJADES-GS-z14-0を観測した。

欧州南天天文台(ESO)によると、研究チームは酸素の痕跡を検出し、以前存在していた銀河の状態を確認した。

これまで、初期宇宙に存在していた銀河は、水素やヘリウムなどの軽元素しか含まれていないと考えられていたが、今回の発見はその概念を覆すものだ。特に、酸素のような重元素が早期に形成されていたことを示唆している。

研究によると、JADES-GS-z14-0には、初期宇宙で予想されていた10倍もの酸素が含まれていたことがわかった。これにより、初期宇宙における星の形成速度や化学進化が、従来の予想よりも遥かに早かった可能性が高まった。

この発見について、オランダ・ライデン天文台の研究者は「銀河の形成がこれまでの予想よりも早く進んでいることを示す証拠が増えている。今回の研究結果は、初期宇宙の化学進化に関する理解を深めるものだ」と述べている。今後の研究により、さらに詳細な宇宙の歴史が解明されることが期待されている。