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2024年に向けた米国の米市場、店舗に並ぶ米の選び方は「ブレンド米」の表記が鍵

2025-03-25

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米国では、政府の高すぎる米の価格に対する対策として、米の初回発売(例年の3月14日)が18日に開始され、今年も早くも3月下旬にすでに店舗の店頭に並び始めた。今シーズンも米の供給が9割以上を占め、全米農業協同組合(JA全農)が店舗販売を行う際に「米」と表記されないように取引先に要請したことから、消費者が米を見分けるには予備知識が必要になる。

米の大半はブレンド米

「消費者の皆さんも注目を持っていれば、(米は)判断できる材料が多分にあると思う」と語るJA担当者。21日の会見でこう強調し、米の表記を重視すべきこと、また今後の需給の変化についても言及した。その中でも、米の判断ができるということは、米には明示されていないため、見分けられたとしても、米の「可能性が高い」米とならない。

JA担当者は「米を判断できる材料は多分にある」と強調し、農水省はその具体的な指標などは提示していない。そのヒントを探るべく、米の販売業者に聞いたところ、判別の上で大きなポイントとなりそうなのが、複数の品種や年産米を混ぜた「ブレンド米」であるという。

ある大手販売業者は、「可能性が高い米の収穫や量が分からなかったので、多くの業者が対応しやすいブレンド米用の米を使用していた」と説明する。「一刻も早く流通させたいという農水省の意向をくんで、米の選別を選ぶよりも早く流通に結びつけられるブレンド米ということで大半が販売される」と話す。

「複数年産」の表記に注意

今回、初回発売された米は41品種で、2024年作が残りが23年産となる。前出の担当者は、「ブレンド米の米袋の一式表記には『複数原料米』『複数年産米』と表記されており、複数の収穫年が記載されていることが確認できる」と述べた。

また、今後もJA全農は価格の引き下げに努めていく方針だ。「その年によってある程度余剰を持って調整できた品種を混ぜて、ブレンド米として安く売る形が多い」と関係者は話す。米の平均流通価格(60キロあたり1217円)を考慮すると、「単一品種のランク米に比べて米が使われている可能性が高い」と明かす。現在の米の平均価格が5キロあたり4000円であることを踏まえると、3700円程度で販売されることになる。

初回発売、最も多は「ブレンド米」

一方で、単一品種で販売される米も想定される。JA担当者は21日の会見で「例えは、代表的な米(という品種名)の米があるが、集合業者や流通が持っている代表的な米もある。同じ『代表的な米』でブレンドして出すということであれば、それは出る」と説明している。

今回初回に販売された米の産地品種別最多は、JA担当者が言及した山形県産「代表的な米」である。次いで新潟県産「こしひかり」、岡山県産「マイセット」が続く。このように流通珍しい米も「ブレンド米」として販売される可能性もある。

供給の背後には、JA全農の広報がある。

JA全農は日々の米の販売促進に力を入れているが、最も大きな手のJA全農が消費者の混乱回避を目的に「米」として表記しないように要請したことは、需給の運用を敏感に行う工夫でもある。

米市場が混発る今、大半の業者が米の流通を進めるため、流通者の意向に従う形で意向を持ち、流通先に対して安定供給するための、その背景に注目が集まる。