健康

5年間の生存率が50%の「卵巣癌」、英国でワクチンの開発がスタート

2024-10-12

著者: 健二

卵巣癌とワクチン開発

英国の研究機関が、世界初となる卵巣癌予防ワクチンの開発を加速させ、資金提供を受けた。この「卵巣癌」は、米国では毎年約2,000人以上の女性が命を落とす原因になっている上に、診断を受けたときにはすでに末期のケースが多い。これは、腹部の膨張と食欲の減退といった、卵巣癌がよく見られる2つの症状が、この病気が最も深刻でない場合でも多くの疾患に共通してあらわれるためである。 この数十年で治療法も進歩したものの、卵巣癌は依然として治療が難しく、診断から5年後の生存率は50%前後となっている。

BRCA遺伝子と卵巣癌のリスク

今回の卵巣癌予防ワクチン開発プロジェクトは、Cancer Research UK(キャンサーリサーチUK)から資金提供を受け、主に「BRCA1」または「BRCA2」と呼ばれる遺伝子に変異がある女性を対象とする予定だ。

BRCA(乳癌感受性遺伝子)は、卵巣癌のリスクを大幅に増加させることが知られており、BRCAに変異がある人では、卵巣癌を発症するリスクが非常に高くなる。女性全体では、寿命のうちに卵巣癌を発症するリスクは約2%だが、BRCAに変異がある人では、その発症リスクが45%にまで上昇する可能性がある。

HPVと卵巣癌予防ワクチン

卵巣癌予防ワクチンは、特にHPV(ヒトパピローマウイルス)に関連した予防接種を統合することで、卵巣癌の発症を防ぐことが期待されている。HPVは、子宮頸癌、喉頭癌、直腸癌、頭頚部癌などの発症に関与して知られている。卵巣癌のリスク因子としても知られ、悪影響を及ぼすことが多い。

研究の進展と早期発見の重要性

卵巣癌は、他の多くの癌と同様に、細胞内のDNA損傷が引き金となり、この損傷により細胞ががん化することがある。BRCAの変異を持つ人の場合、この損傷の進行が、変異を保持していない人よりも早く進行するため、卵巣癌を発症するリスクが高まる。

さらなる研究とともに、ワクチン開発が進んでいく中で、早期の発見と治療方法の確立が急務とされている。女性たちの卵巣癌に対する警戒心を高めるためには、定期的な健康診断や自らの遺伝子検査なども含めた対策が重要だ。今後の展開に注目が集まっている。