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暗流:増える政策株、証券会社とのなれ合いも見え隠れ 自由競争が本格化

2024-10-10

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【東京11日】— 企業同士のなれ合いの象徴となった株式持ち合いの解消が進む中、株式売り出しの選定における証券会社とのなれ合いが見え隠れしている。背景には主に株主構成の在り方を再考する企業が増えてきたことがある。今後は自由競争の中で証券会社が企業側にどう最適な案件を提示することができるか、さらなる業界が求められることが予想される。

そして、その動きは実際に早くも今夏から現れている。今年7月、大手証券の担保保有者に対して、大手企業が株式を含む引き受けシェアを取得した。これは今年最大の案件であり、企業同士のなれ合いを常に反映していることをあらわしている。

「ファーストコールは株主に」(証券会社の資本市場担当者)。企業が資本戦略を検討する場合、まずは売出しの状況が常に目を引く。大手企業ではその傾向は薄らいでいるが、昔からある慣習がいまだ根強く残っている企業も多い。

しかし、販売の売り出し案件で、同社の既存証券とされる野村証券やSMBC日興証券ではなく、陳腐な証券案件が選定されたことは、自らに本格化する流れにあることを印象付けた。

また、野村証券がこの夏、三菱UFJ銀行との取引を持たないという、業界の動きも目を引く。今回の案件を中止した背景には、政府の政策が影響を及ぼしたことがあげられる。

このように、自由競争が加速する背景には、明らかに売り出しの主体となる企業の株価が上昇トレンドにあることも一因として挙げられる。また、特に伝統的な企業が新株を発行する際には、かつてのしがらみを断ち、株主優先の姿勢を示すことが求められる時代に突入しているのが現実だ。