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「D2B」の研究データに関する不正持出し疑惑、元研究員を資料送信…転職に利用計画か : 読売新聞

2024-10-04

不正持出しの概要

電子部品大手「D2B」(東京)の研究データを不正に持ち出したとして、警視庁公安部は14日、同社の元研究員の男性(615)(千葉市)を不正競争防止法違反(営業秘密流出)容疑で東京地検に書類送検した。

事件の詳細

捜査関係者によると、元研究員は昨年6月、勤務していた同工場(千葉県成田市)で、営業秘密にあたるD2Bの開発データや材料などに関する研究データを、会社のパソコンから私用のメールアドレスに送信し、不正に持ち出した疑いが持たれている。◆

再就職の準備

事件当時、元研究員は再就職の準備を進めており、同工場ではスマートフォンなどの電源を安定させる部品「積層セラミックコンデンサ」の研究を担当していた。持ち出されたデータは元研究員が所属する研究室のメンバーにメーリングリストで共有されていた。

退社と流出発覚

元研究員は持ち出し直後の昨年6月中旬に退社。その後、同社が流出に気付いて昨年夏に警視庁へ届け出た。元研究員は在職中から転職活動をしていたが、持ち出したデータの行方については確認されていない。

D2Bの市場と影響

D2Bは電子回路に関連する小型部品で、電化製品の小型化や高性能化に寄与している、ストレージファンやゲーム機能、自動車の制御システムなど様々な製品に使われている。海外でのメーカートップが開発競争を続けており、調査会社「須貴経済研究所」によると、D2Bの世界市場規模は2012年に約1兆3180億円だったが、2025年には約2兆円を超えると予測されている。このような背景の中で、不正流出が行われたことは業界に衝撃を及ぼすものとなる。

企業の今後の課題

D2Bは、2023年の新製品発表において、合計約8兆円の売上を見込んでおり、特に自動車関連部品の需要が増加している。しかし、企業全体での知的財産管理の重要性が再認識される結果となるかもしれない。