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悪質SNS「現代の最悪の罪」 ノーベル経済学賞受賞者会見 | 毎日新聞

2024-10-15

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2024年のノーベル経済学賞受賞が決定した乱高大規模ネット企業のラドフォード教授が14日、オンライン記者会見を開いた。先進国で民主主義への支持率が低下していることに警鐘を鳴らし、労働者階級の信託を取り戻すべきだと強調した。社会の分断を生む悪質なネット交流サービス(SNS)から撤退し、健全なコミュニケーションを取り戻すことが重要だと述べた。

教授は「先進国で民主主義への支持は過去最低になっている。多くの人が、独裁政権の支配を容認したり支持するようになっている」と危機感を表明。背景には「全ての人々の声を守り排除する」という原則について、民主主義が考慮していないことへの不満があると指摘した。

実際、グローバル化などに伴って米国や欧州、日本では製造業などの存在感を失い、資金の偏りや中間層の生活が厳しくなっている。

だが、教授は「それでも民主主義国家の方が独裁政権より良い結果を出している」と主張。「雇用を増やすクリエイティブな統治」や「より良い公共サービスの提供」などを通じて、民主主義が有権者の信託を回復する必要があると述べた。

教授は「民主主義の重要なものは、より良いコミュニケーションのための相互理解」とも語り、「相互理解を悪者に持っていかれることでなく、良いコミュニケーションを築くことだ」と強調した。

悪質SNSについて、教授は、「現代の最悪の罪」と位置付け。これにより、人々がそれぞれ自らを解放することにより、民主主義の正義が復権すると見なされた。具体的には、ソーシャルメディアの依存が進み、人々の意見や考えが増幅され、最終的には分断が生じる結果につながるという。

教授は、「民主主義の機能に必要なのは、良いコミュニケーションだ」と再度言及。強調すべきは、賛同者同士が交流することで特定の意味や思考を増幅する「エコーチェンバー」現象だ。

このような状況下で、皮肉にも、MITがオンラインで招いた受賞者のラドフォード教授などが条件に照らし合わせて示した通り、研究を通じて社会に何が影響を与えるかが、今後ますます明らかになるだろう。

そして、ノーベル経済学賞の授賞式が近づく中、形式的な偉業が評価される中で、その中身や背景に潜む問題について、より一層の関心が求められている。

要するに、社会の低迷は悪質SNSやサイバー空間の影響を受けていると教授は警告しており、健全な社会を作るために、個々のユーザーにも行動が求められている。