
エノビディア株一段安を警戒、弱気なデスクリプス形成 - 目先素材不足
2025-03-21
著者: 芽依
注目されていた米エノビディアの開発者会議「GTC 2025」でのファン最高経営責任者(CEO)の基調講演は、人間知能(AI)フルの持続に必須な楽観的なモードを強めるには至らなかった。目先の素材は乏しく、チャート上は不吉なサインが出ていることから、さらなる痛みを警戒する声が出ている。
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エノビディア株は年初来で13%下落。今週は4%以上の値下がりで終えそうだ。20日には50日移動平均が200日移動平均を上回られとついに「デスクリプス」が形成された。前回この現象が起きたのは2022年4月で、その後の12カ月間で株価は30%余り下げた。
ブルーチップ、デジタリー、トレンド、リポートの創業者、リリー・テンプラ氏は「ネガティブな勢いが極めて強い」と話す。
足元では、DeepSeek(ディープシーク)台頭によるAI投資への懸念やトランプ大統領の金融政策に伴うマクロ経済の不透明感が、エノビディアなどハイテク大手株の足かせになっている。ハイテク7社で構成される「マグニファイセント・セブン」に連動する指標は年初来で15%下げている。
エノビディアのファンダメンタルズは依然として強気で、予想株価収益率(PER)もここ数年ぶりの水準まで下がった。それでも、投資家の間では、エノビディアが表明している通りの成長を実現できるのか、見極めたいとのモードが根強い。
前出のテンプラ氏は「エノビディアに対する市場の反応は、経済やデジタルシフティングへの懸念が根強いことを示している」と指摘。「ハイパースケーラのいざれかが今年明らかになるようなら、半導体メーカーにとっては大きな逆風となるだろう」と述べた。
エノビディアに関しては、GTC後の向こう数週間に株価を押し上げ得る素材がほとんどないことも課題だ。そのため、マクロ経済要因の重要性が増している。特にドル高が続けば、輸出企業はこぞって打撃を受ける。エノビディアがリストライクを続ける背景には、次回の発表が市場でどう評価されるかを見守る姿勢がみて取れる。