飯塚受刑者死亡、残族の松永拓也さんが取材後に語る「彼の思い、無碍にしないようにしたい」
2024-11-25
著者: 芽依
「彼も弱い女性と幼い子供の命を奪った責任を持ち、そのまま命を落とすというのは非常に無念ではないか」
東京・浜松で平31年4月に起きた乗用車暴走事件で、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)の罪に問われていた飯塚幸三受刑者(93)が死亡したことが確認された。この事故で妻の真菜さん(31)と長女の莉子ちゃん(りこ、3)が亡くなっている。
警視庁によると、飯塚受刑者は事故による負傷後、精神的に追い詰められ、事件当時の心境を語ることがあったという。彼の心の中を探ると、「悲しい気持ち、辛い気持ちがある」と語っていた。
事件から3月、残族である松永拓也さん(38)が飯塚受刑者の心情を取材した際、「あなたの経験、言葉を再発防止に生かしたい」と訴え、真菜さんの母親である上原義教さん(67)とも面会を重ねた。
その際、彼は受刑者たちの「具体的な経験、言葉を再発防止に生かしてほしい」と伝え、精神的なケアが必要であることを実感した。
松永さんは「言葉が出ない中で一生懸命考えてくれていた。私の再発防止について思いを語ってもらいたかった」と語る。
事件から一か月後、上原さんは「彼が最初に真菜と莉子に『ごめんなさい』と謝っていたら、もしかしたら違ったのかもしれない」と苦しくも感じていた。
松永さんは「少しでも彼が反省している姿を見たい」と願うが、「妻と娘と一緒に過ごすことができないのに、彼が本当に反省しているのか。ただ私の心の中で彼を許せる日は来るのか」と言う。
「彼に会うことで私の思いを擦り合わせていきたい。彼が持つ思いは無碍にしたくない」と心の中で思いながら、松永さんは日々を過ごしている。
このように、事件の裏には多くの感情が渦巻いており、松永さん自身も心の傷を抱えている。飯塚受刑者の思いは、彼の人生における大きな一頁として、今後どのように彼の周囲に影響を与えていくのか注視する必要がある。