
核融合の心臓部、世界最大の「プラズマ発生装置」を見てきた
2025-03-18
著者: 桜
量子科学技術研究開発機構(QST)とNTTが3月17日、巨大核融合装置のプラズマ閉じ込め場に適用するAI予測手法を確立したと発表しました。これに伴い、島根県那覇市にある「那覇フュージョンサイエンス技術研究所」で、世界最大のトカマク型超伝導プラズマ実験装置「JT-60SA」が公開されました。
JT-60SAの概要
「JT-60SA」は、核融合発電の要(かなめ)となるプラズマを生成し、その制御方法を研究するための装置です。日欧が協力して完成させた「JT-60」を改造したもので、「SA」は「Super Advanced(最先端)」の略です。主な改造点は、プラズマを長時間生成するために、超伝導技術を採用した点で、この新しい装置は従来の技術よりも高効率で、持続的なプラズマ生成が可能です。
核融合発電に向けた重要なステップ
この装置は、核融合発電が実現する未来に向けた重要なステップであり、プラズマ維持には長時間安定させることが求められ、その研究のための重大な施設となります。
世界最大のトカマク方式装置
「JT-60SA」は、トカマク方式と呼ばれるプラズマ発生装置としては現時点で世界最大です。2023年10月23日に初めてのプラズマ発生を行い、プラズマ電流とプラズマ密度において世界記録を樹立しています。現在はさらに高いプラズマ電流を長時間維持することを目指し、2026年の運転開始を目指しています。
核融合発電のプロセス
核融合発電とは、重水素などの軽い原子核を融合させることでエネルギーを生成するプロセスで、自然界では太陽の中心で起こっている反応です。この技術が実用化されると、持続可能なエネルギー源としての期待が高まります。
国際的な連携と期待
「JT-60SA」は、トカマク方式と呼ばれるプラズマ生成装置としては、世界中で注目されています。特に、フランスで運営されている核融合国際実験炉(ITER)との連携を図りながら、「JT-60SA」の成果はITERにも影響を与えることが期待されています。
温暖化対策としての核融合発電
核融合発電は、二酸化炭素を排出しないため、温暖化対策としても重要で、20250年以降に商業化されることが見込まれていますが、最近ではその進展が加速しています。日本国内では2030年代には核融合エネルギーを実現する目標が掲げられ、研究開発は今後さらなる加速が期待されています。
今後の展望
今回の研究成果は、核融合発電の実現に向けた重要なマイルストーンとなり、QSTとNTTは引き続き、核融合のデジタルトランスフォーメーションを実現し、世界規模での核融合技術の普及進展を目指して活動していく予定です。