
金利政策の目的は物価安定、財政への配慮で強気にならない=植田日銀総裁
2025-03-24
著者: 健二
[東京 12日 ロイター] - 日銀の植田和男総裁は12日午前の金融政策決定会合で、日銀の金利政策の目的が物価の安定であると強調し、日銀の財政への配慮のため、強気な政策展開にはならないとの見解を示しました。基調的な物価上昇率が2%に向けて高まっているという見通しが実現すれば、これに伴う利上げを行うこととし、その際には慎重な対応が求められると述べました。
日本銀行は、バランスシートに関連し、短期的な調整は短期の資産と負債のやり取りで十分対応できていると説明。大規模な保有している長期国債は市場で流通できないため、買い入れペースを抑制することによって少しずつ削減しているとの見解を示しました。
日銀が金融緩和を進める中、外的要因が日銀や円を信用し続けるかどうかの問いに対して、植田総裁は「通信の信認は、適切な金融政策運営によって物価の安定を図ることを通じて確保されるもの」と指摘しました。「適切な政策運営を行う能力は財政が赤字になったり、一時的に金融が超過になっても支障を生じない。短期金利の調整を行うことで物価の安定を実現することが中長期的には可能」と考えを示しました。
植田総裁は、日銀保有EBT(上場投資信託)の評価損は2023年度上半期末時点で13兆円と説明。保有EBTがすべて日経平均株価に連動すると仮定した上で「日経平均が11000円下落すれば、評価損は11兆円に達する可能性がある」と指摘し、資産運用のリスク管理の重要性を訴えました。
さらに、為替市場については「円安が進むことで国民の生活に影響が出るため、想定以上に円安が進むことは望ましくない」と強調し、円安の進行に対して警戒感を持つ必要性を訴えました。こうした背景を踏まえ、日銀の政策は短期的な波を乗り越えながらも、物価の安定を目指す姿勢が変わらないと強調しました。
金利政策の在り方については、景気回復と物価上昇が続く場合、市場からの期待に応える形で適切なタイミングで利上げを行う可能性も十分にあるとの見解を示し、投資家へのメッセージを伝えました。これにより、金融市場はより安定した環境を迎えることとなるでしょう。この動きがどのように日本経済に影響を及ぼすのか、引き続き注目が必要です.