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経済成長のための「持続可能性」が求められる中、消費も減速 - 日本銀行支店長会議

2024-10-07

著者: 健二

【東京 7日 ロイター】 - 日本銀行が7日に開いた支店長会議で、来年度の資金需要に関して、構造的な人手不足や最低賃金引き上げで資金上昇を続ける必要があるとの認識が企業の間で広がっているとの報告が多かった。支店長会議後の記者会見では、各支店長から資金上昇の波及に伴う個人消費の減速効果が言及された。

同日午後、日本銀行が公表した支店長会議での報告事項によると、賃金設定に関して、サービス業などで働く方々が従業員の人手不足を背景に「多くの企業が極端に取り組む姿勢を見せている」と述べられた。その一方で、一般消費者と直接向き合う「TOCK分野」では、個人消費が強くなっているとは言えず、価格を上げられるかどうか不安が残る中で翌年の資金上昇について「よく分からない」と言われている企業も特に多かった。

名古屋鋼材・名古屋支店長は資金上昇や価格転嫁に関して「中小企業では膨らんでいるが、業界全体でどのくらい効くのか不透明」と指摘。このような懸念の声が上がる中、来年度の資金上昇についてかなり難しい状況になっていることを強調した。

また、経済の見通しに関して「地域経済としては回復基調にあるものの、景気の安定性が欠けている」と語り、その背景には、個人消費対策が十分でないことから「個人消費が持続的に成長する環境が必要だ」との要請もあった。

日銀の名古屋支店長は、「個人消費は回復しつつあるが、十分には生産や輸出の好転に寄与できていない」と述べており、特に海外市場にも目を向ける中での生産や輸出の推進には、地域経済全体を見ながらの持続可能な発展が求められていると指摘した。

また、消費動向については「地域ごとの特殊性や、消費者のニーズを考慮した戦略が求められる」「個の消費が強化されるなかで、消費者の行動の変化に応じた柔軟な対応が必要」とし、経営者に対してのアドバイスも行われた。