「猟バイト恐くてやめた」連続強盗事件の背後に「仲間」の110番

2024-10-04

著者: 蒼太

埼玉県と東京都で3件連続した強盗事件が発生し、実行役が高い通信能力を持つアプリ「シグナル」の複数のアカウントを通じて指示を受けていたことが捜査関係者への取材で判明した。

「怖くて」という通報が寄せられた。

「猟バイトに勧誘されたが怖くてやめた」とのこと。

捜査関係者によると、埼玉県所沢市で強盗事件が起きた1日午前2時ごろ、埼玉県内で、ある男性が110番があった。

男性はX(ツイッター)を通じて猟バイトに勧誘されていた。その後、秘密性の高い通信アプリ「シグナル」に誘導され、指示役とみられる人物と連絡を取り合うようになったという。

通報に対して埼玉県警は男性のスマートフォンを分析。指示役とみられる人物からは「白の乗用車が迎えに行く」とのメッセージや、車のナンバーが送られていた。

翌日午前10時ごろ、警視庁の捜査員が、東京都調布市内でこのナンバーの車を発見。車を運転していたのは埼玉県内で監視されていた男(23)であると判明した。

この男は強盗の実行役ではないとされているが、所沢の事件で捕まったクレジットカードを使用していたことがわかった。

このことから、捜査員は関連性を調査し、流入先が「高額案件 タクシー業務日669万から」との勧誘を見ていたとされている。

シグナルで「松本」や「大河」と名乗るアカウントの人物から「都内の藪むらに隠したクレジットカードを回収し、20万~30万のバッグを買え」と指示されたとのこと。このアカウントは、実行役に指示を出していたことが確認されている。

男は指示に従い高級ブランドのバッグの購入を試みたが、この時点で身分証を得られず購入に失敗。「ヤミ金などへの返済が厳しく、どうしても金が必要」と供述している。

警察庁によると、SNS(ネット交流サービス)で脅迫や強盗などのケースが、2021年7月~2023年9月までに92件確認された。

特に最近では、指示役が身分証を送らせて「万引き犯がいるので逃げた方が良い」と強く脅すなど、新たな手法が増えているという。このような形で捜査に支障をきたす事例も増えており、警察は重要視している。

具体的には、指定された行動が無い場合、「顔写真があるので逃げられない」「家族に被害を及ぼす」といった脅迫が行われている。これにより、指示役が不在であっても従わざるを得ない状況に追い込まれることが多く見受けられる。

「猟バイトに絞られた強盗に加担するなら、逃げることは簡単ではない」「犯罪に関わる代償が大きい」と警察官も警鐘を鳴らしている。注意を怠らず、周囲に危険を感じたらすぐに通報することが重要である。