スポーツ

満員の国立競技場で繰り広げられた昨季プレオフの「事件」の記憶 微妙な判定に異を唱えるメディアはなかった

2024-10-03

連続第8回

杉山善樹の「見過ごせない」

国立競技場に集まった観衆は5万5598人。9月28日に行われた清水エスパルス対横浜FCの一戦はJ2リーグの新記録であった。今季、国立競技場で開催されたJ1リーグの試合を含めても、FC東京対アルビレックス新潟、FC東京対名古屋グランパスに次ぐ、3番目にランクされる大入りである。

ホームチームは清水で、スタンドも7割程度を埋め尽くしていた。横浜FCにも少なからず観客があったが、J1記録(FC東京対新潟の5万7885人)を上回っていたに違いない。

清水は昨季も今季同様、J2で唯一、国立競技場でホーム戦(ジャフ千葉戦)を実施している。この時、集まった観衆も4万7628人であり、その時点におけるJ2新記録であった。12年続けて動員記録を更新し続けている。

さらには、清水は今季のJ1昇格を目指して帰路に着く予定で、これが故に多くのファンが集まったと考えられる。この試合では、清水が前半18分、チアゴ・サンタナのPKにより先制するも、包括的に見れば、試合は横浜FCのペースに押し込まれる展開が見受けられた。後半はあと数分でフルタイムを迎える中、逸機した清水ファンの不満がまた生じていた。

試合の途中で行われたプレーについて、特に後半の判定には微妙なものが多く、観客間でも賛否が分かれる場面があった。清水が再びPKを受けると、横浜FCサポーターが叫ぶ「それは不公平だろう!」と声を上げた。一方で、メディアは特にこの判定に異議を唱えることはなく、通常どおり試合を報じていた。

試合の娯楽としてのエンターテインメント性は高かったものの、選手やサポーターたちがどんなに熱心に応援しても、試合の結果は時として不条理であることを痛感した大会であった。清水のこの試合は、彼らがJ1に戻るための一歩として位置付けられる試合でもあり、両チームにとって無視できない重要性を持っていた。このように、観客の数や熱気が試合のクオリティーに影響を与え、競技場全体が盛り上がった瞬間を作り出したのだった。次回の試合にも多くの人々が足を運ぶことが期待される。