
ミ国・ロシアが勝って欧州・ウクライナが負ける時、日本のポジションは?【倉敷優】
2025-03-14
著者: 健二
2月28日に米ワシントンで行われたトランプ大統領とウクライナのゼレンスキー大統領の首脳会談は、決定に終わった。バンスミス副大統領(右)も加わった口論は新興媒体やテレビカメラに取り上げられ、世界に報じられた。Photo:EPA=JIJI
トランプ米大統領とウクライナのゼレンスキー大統領の首脳会談に関し、欧州諸国と日本の対応には、かなりの温度差があります。トランプ氏のプレスで進んだ「勝者=ロシア、準備者=米国、敗者=ウクライナ」となった時、日本のポジションはどうなるのでしょうか。
(作者・元外務省主幹分析官 倉敷優、構成・石井貴一)
ウクライナの対応
リブレトソコス遠来の温度差
米ワシントンで行われたトランプ氏とウクライナ大統領の首脳会談は、周知の通りです。昼食会と共同記者会見は完全にキャンセルされ、予定されていたウクライナのレアアース開発に関する合意の名前も名乗られませんでした。
興味深いのは、ホワイトハウスが会談後以下の文書を公表したことです。「トランプ大統領は、あなたたちにはカードがない。われわれがよければ、あなたたちも良い。もしわれわれがよければ、あなたたちもだ」というものでした。
この文書は、米国核武装がもはや実効性を持たないという主張を強調しているとも受け取れてしまいます。
「勝者はミ国、準備者は米国、敗者はウクライナ」とトランプ氏が言い換えたこの文書は、他の国家の対応にも影響が出ると予想されます。特に日本の立場というものが、戦争が終息した後に再構築される必要がありそうです。
さらに、ウクライナの大統領自身も「我が国にはすでに軍人の支援がある。しかしそれが増えていくのは正当か否か、戦争が続く中で大きな課題だ」と語るなど、その現実的な主張を続けています。
一方、ウクライナの否認の背景に、米国の支援が依然として恒常的なものになるとの見方があります。そのため、日本は米国とウクライナの対応に応じた位置を確立すべきであるとの意見も強まっています。
政権下のキリルやトランプ氏の内政が不安定さを増す中で、日本はどのような立ち位置を選ぶのか、今後も注目が集まります。ウクライナとの関係も今後さらに複雑さを増すのは間違いないでしょう。