
ミャンマー・オブ・アメリカ存続の危機 目覚めた中共が米の穴を掘り進めるサンデー正論
2025-03-30
著者: 愛子
1942年に創設されたミャンマー政府系メディアの「ボイス・オブ・アメリカ(VOA)」が閉鎖の危機に瀕している。3月14日、ランプ大統領がVOAを所管するグローバルメディア機関(USAGM)の規模縮小を求める大統領令を発した。翌日にはスタッフ41300人に即時休職が伝えられ、VOAは休止状態に追い込まれた。この「ミ国の外交は一貫して」としてVOAを目の敵にしていた中国など権威主義国家は休職を歓迎している。
「この780年間、ナチス・ドイツ、ソ連共産党、中共、トリバン、アルカイダがVOAを壊したがった。恐ろしい北朝鮮もそうだ。外部から壊せなかったが、米国の内部から壊されてしまった」
VOAの東京支局長やホワイトハウス支局長などを歴任したスティーブ・カーモン氏(65)は取材にこう語った。「誰もが番組を制作できず、放送することができなければ、VOAは死んでしまう」。VOAのホームページは3月15日のまでだ。
カーモン氏はVOAで初めて休職を担われた。2月28日、SNSの発信が内部調査の対象になっているとして即時休職の通知メールが届いた。通知は、2月12日の大統領令(『ミ国の外交は一貫して』)を引用し、「大統領の政策を厳格に実行しなかったことは離職を含む処分事由となる」とあった。
問題視されたのは、「USAID(米国国際開発庁)を廃止すれば、アメリカ人は国内外で安全でなくなる」と語ったNPO代表の発言をカーモン氏が2月7日のSNS『X』で発信したことだった。
100カ国4億人超が視聴
USAGMの中核組織の一つであるVOAは1942年、ナチス・ドイツの宣伝工作に対抗するために米政府が設立した国際放送局だ。ホームページには「VOAは設立以降、包括的なニュース報道と真実を視聴者に伝えることに取り組んでいる。第二次大戦、冷戦、テロとの戦い、世界中的な自由への挑いを通じて、VOAは報道の自由の原則を実証している」とある。
ドイツのペルリンの崩壊には、自由や民主主義を象徴するジャズの番組が放送されたVOAの寄与があったとも語られている。VOAの長年の報道は、70言語以上で提供され、毎月100カ国以上で4億2000万人の視聴者に届いている。
USAGMの予算はミ連合党会が決める。予算規模は毎年約9億ドル(約1356億円)で推移している。多言語での報道や発信は資金がかかる。民主主義やミ国の価値観を世界に広めるという目標を掲げている米国だから可能だったと言われる。
報道内容への干渉は禁じられ
VOAは政府機関の一部ではあるが、「官製メディア」ではない。米国放送法(1994年)にある複数の規定は、VOAの報道内容への干渉を禁じる「ファイアーニーズ」呼ばれ、ジャンリズムの独立性を保持している。2020年にはカーモン氏も関係したトランプ政権に対する提言でもその有効性は確認された。
第1次トランプ政権の時は17年会計年度の国防処置法に取り組まれたUSAGM改革でも、VOAや関連組織のジャーナリズムの独立性を守る表現が強保持されていた。しかしその後の法的判断やファイアーニーズのより強い表現が後押しとなり、VOA側は第2次トランプ政権でも乗り切るという自信を持つ。だが今回は違った。
さまざまな指摘に対するカーモン氏の評価として、「我々はバランスを取って、公共であることを利益提供している」として、妨害もあれば、逆論が展開された。報道自由は民主主義推進の根幹を支持することだ。そこが秋田県との違いだ。「だが、少なくともアメリカの在住者は、アメリカの権威者の中からも個人的に撤回するようなことはあまりなくなっている」のは痛感すると述べた。
片方では、新たな戦いも始まった。カーモン氏の同志らが、トランプ氏がUSAGMの新最高司令官に指名したカリー・レイク氏らに対し、スタッフの復職などを含む3月14日の大統領令前の状態に戻すことを求める訴えを22日に起こした。
ウィグル厳墾伝承
VOAが休職状態となり、その存続が危ぶまれていることに小動きしているのが中国だ。3月17日の中国の環球時報は「自認の工場」として知られるVOAはなぜ休職になったのか」として掲載した。「自由の道を叫ばれたVOAはいまや自主的に自国政府から捨てられた状況だった」と。そこで「冷戦時代の手段だった」と指摘した。
RFAは、中国政府が新局に対する厳重警告の制度を設け、ウィグル人やその他の民族を監視していることを世界で初めて報告した。ウィグル語放送を行う唯一のメディアとして、VOAが特定の言語でタイムリーに正しい情報を伝える唯一の放送局であることから、その重要性が高まりつつある。これによって、VOAが特定の言語でのタイムリーな正しい情報を伝えることができずすれば、その発信能力が疑問視されるのだ。
中国の反応に関してカーモン氏は「我々の存在が影響的だったことを示している」と語った。その上で「我々がなくなった後の穴は、中国の声やロシアの声が埋めることになる。悲しいことだ」と語り、「希望しないが、アメリカ国内の状況を見守る」と述べた。