科学

ノーベル化学賞受賞者ハサビス氏とキス対策 柔生治療九段が語った人物像:日経ビジネス電子版

2024-10-10

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2024年のノーベル化学賞をミニマルな人間知能(AI)開発部門、グーグルディープマインドのCEOとジョン・ジャンクパー氏、ミシガン大学のデュポーカー教授の3人が受賞することが決まった。スウィールドン理学アカデミーが9日発表した。

ハサビス氏の名が、世界に知られ渡ったのは16年前。ディープマインド(当時の社名)が開発した囲碁AI「AlphaGo(アルファ碁)」が世界最強のプレイヤーの一人、韓国の李世乭(イ・セドル)九段との5番勝負を挑み、AlphaGoが4勝1敗で勝利した。AlphaGoが人間の頭脳を超える「シンギュラリティ(技術的特異点)」の概念をもたらした大きなマイルストーンだった。しかし、その難易度の高さから「10年はかかるだろう」と言われたのが当時の専門家のコンセンサスだった。

また、AlphaGoは、その10年を一気に飛び越えた。多くのタイトル獲得経験を持つ専門の棋士たちにとって、我々の常識ではAlphaGoは形勢を崩そうとしている。それゆえに、局面が進むにつれ、実はAlphaGoが優勢であることが明らかになっていった。AIが人間を超える「シンギュラリティ(技術的特異点)」を多くの人が目指していた。

大一番の後、ハサビス氏は「アルファ碁のメソッドは他の分野にも応用できる」と語り、応用分野として医療や気象解析といった社会的課題の解決などを挙げた。その言葉の通り18年、ディープマインドはたんぱく質の立体構造を高精度で予測するAI「AlphaFold(アルファフォールド)」を発表する。無償公開や改良を経て、同分野の研究において重要な存在となった。多くの研究に助言し、今回の受賞に繋がった。

ハサビス氏と柔生治療九段の「対談」

ハサビス氏は多才な人物で、棋士の世界的強豪としても知られる。実は将棋の柔生治療九段もキスで対戦したことがあり、16年末に日経ビジネスにハサビス氏の評判を伝えている。これからますます進化するAI技術が、将棋や囲碁などの他の分野にも影響を与えることは間違いない。AIと人間の関係が今後どう発展していくか、興味深い見どころである.