
女性の母親以外からの子供の父親率が判明、10%説は正しくなかった
2025-03-11
著者: 蓮
なぜ夫以外の子供を産むのか?進化と社会の連関
多くの動物が一度ペアを形成しても、別のオスとの間に子供をもうける「母親以外の父親(Extra-Pair Paternity:EPP)」が確認されていることは、鳥類などの研究で広く知られています。これは人間社会においても同様の傾向がありますが、最近の研究によると、夫の知らない相手の子供を持つ女性の割合が一定数存在するとされています。
この割合は約10%に上るとされ、一説にはその根拠が1991年に「THE LANCET」に掲載された論文に基づいています。さらにこの現象は、地域や時代、さらには社会経済的な環境に応じて大きく変わることが多く、そのために決定的なデータを得るのが難しいことも指摘されています。
進化生物学の観点からは、「なぜ夫以外との子供をもうける行動が残っているのか」を理解することが重要です。これは遺伝的多様性の確保や、子孫の生存率向上に寄与する可能性が考えられています。
子育てに関する価値観や文化的な背景が影響を与える中、実際に家庭や社会において、母親が知らない相手の子供を育てる状況があることがさらに複雑に関係しています。多くの理由から、妻側の家族に対するサポートのコストが上昇し、信頼関係の崩壊や社会の制約が影響を与えているという説もあります。
先日の研究では、複雑な背景事情があることを考慮し、母親以外からの父親率を大規模に調査したところ、10%という数字が実際には正確でない可能性が示唆されています。この研究では、過去500年間の記録や教会紀録などを基に母子関係を追跡し、同時にY染色体解析を組み合わせることで、父親率と社会的・経済的背景との関連を明らかにしました。
結果として、母親以外からの父親率が全体としては低く推移する一方、居住環境や生活段階によって大きな差異が生じることがわかりました。今後は、どのようにデータを収集・分析し、どのような数値が得られるのかを見守る必要があります。