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日本銀行・安達審議委員、利上げ「極めて慎重な方針で」

2024-10-16

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日本銀行の安達審議委員の発言

日本銀行の安達審議委員は16日、基調的な物価上昇率が2%を持続的に安定的に実現するまで「基盤的には慎和的な金融環境を維持しつつ、極めて慎重な方針で政策金利を引き上げていく」と述べた。

金融経済懇話会での講演

高槻市で開いた金融経済懇話会で講演した。

急ピッチでの金利引き上げは避けるべき

「急ピッチでの金利引き上げは実体経済に大きなショックを与えかねない。これを避けるためには、実体経済にショックを与えない範囲で段階的に金利を引き上げていった方がよい」と語った。

金融政策の正常化プロセス

「金融政策が正常化プロセスに入る条件はすでに満たしている」と言った一方、「正常化を進めるうえで、再度のデフレ入りのリスクを意識させるようなドラスティックな政策変更は避けること」とも指摘した。

慎和的な金融環境の重要性

さらには「もともと重要なのが慎和的な金融環境を維持する点で、(物価上昇率を考慮した)実質金利が(景気を熱しも冷ましもしない実質金利である)自律利子率を下回っている状態が続いている」と強調した。

実質利子率の現状

「実質利子率は推計手法によってマイナス1%程度からプラス0.5%程度のばらつきがあり、試算の範囲を出ない。ただ、私自身は現時点では低速な利上げは回避すべきだと考えている」と意見を述べた。

今後の物価動向の注意点

今後の物価動向については「やはり注意を要する状況になる」と発言。円安が進む中、来年の資源価格の上昇方向に関しても注意が必要とした。

円安の影響と持続可能な政策の重要性

「円安が進行することで日本の製造業や輸出産業は恩恵を受けていますが、一方で、生活用商品の物価が上昇し、消費者への影響も出ている。来年度の経済動向についても十分に注視していく必要がある」と述べ、経済に対する持続可能な政策の重要性を訴えた.