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日本政府、21.9兆円の経済対策を決定!昨年を大きく超える少数与党と強まる歳出圧力

2024-11-22

著者: 蒼太

政府は22日の臨時閣議で、物価高への対応や所得向上などを柱とする総合的な経済対策を決定した。この財政支出の規模は21兆69000億円に達する。「景気回復のための財政」を打ち出す法案は昨年を上回る大規模な対策となり、政策の基盤が弱い野党の歳出圧力が強まっている。

財政支出の内訳は、「日本経済・地域経済の成長」に10兆64000億円、「物価高の抑制」に4兆66000億円、「国民の安心・安全の確保」に6兆69000億円が割り振られる。一般会計も合わせた実質歳出は39兆円と見込まれる。経済対策を盛り込んだ今年度補正予算は一般的に13兆69000億円程度と見込まれている。

今回の対策は、与党と公明党が先月の衆院選で過半数を占め、政府権力の運営に野党の協力が乏しい構図の中で組まれた。財源の見通しが立たない中、衆院選で進捗した国民民主党の「年収の壁」引き上げ要求を受け入れる形で決着。新たな財政運営の課題が次々と浮上した。

大和総研の神田達彦シニアエコノミストは「コロナ禍以降、大きな補正予算が組まれる前になった大規模補正予算の規模を拡めていくものであったが、厚い」と、「少数与党となった今は野党の声を一定程度聞かなければならないため、財政健全化は一層難しくなることが予想される」と指摘した。

経済対策には資源価格の高騰や住民税非課税の一世帯当たり3万円の給付金の追加、高場の電気・ガス代補助や子育て支援などが網羅的に盛り込まれた。政府は対策の効果として、実質国内総生産(GDP)を年率換算で1.2%程度押し上げると試算している。消費者物価は0.3%ポイント抑制される見込み。

注目すべきは、政府が社会保障や公共事業といった政策的経費を増やすことで、次年度以降の歳出がどう影響を受けるかという点である。もし来年度から新たな関連で過剰負担がかかるようであれば、次の強化策を進めるには無理が生じる可能性が高い。

内閣府の7月時点の試算では、25年度に8000億円の超過赤字に至る見通しだった。今回の対策に伴う補正予算の施行が来年度にされるとすれば達成は厳しい。一方で「年収の壁」に対策は長期的な財政赤字要因となるため、目標未達の可能性が高まる。

東京大学の内山教授は、日本銀行による金利政策の正常化が進む中で、国債金利が上昇する恐れがあることから、財政健全化の道を見定めることが最初の標的と指摘した。その上で、「大規模な経済対策を計画し、『年収の壁』引き上げにより得られる増税を実施する時にはプライマリー・バランスの確保は遠のく」と述べた.