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死ぬまで元が取れない厚生年金に強制加入させる年金法改正案

2024-11-27

著者: 愛子

厚労省は25日、年金法の改正案を諮問会に提出した。この提案は「年金106万人の壁」を乗り越え、すべての企業に厚生年金を強制するものである。日経新聞などは「基礎年金の3割上げ」と報じているが、結局なことだと思う人が多いだろうが、これには複雑なからくりがある。

基礎年金の「3割上げ」に厚生年金基金を流用する

この背景には、マクロ経済スライドの失敗がある。これは年金財政の均衡を保つように支給額を下げる制度だが、政治的な事情でまともに実行されず、これから実行することになれば、国民年金が3割下がる。そこで2057年までかけて支給額を3割減らす予定だったが、これでは最低限の生活ができないので、底上げしようというのが今回の改正案の狙いである。

厚生年金のマクロスライドは2026年に終わる予定だったが、その資金を基礎年金にまわし、2036年まで延長する(つまり減額する)ことが今回の改正のポイントである。この調整期間についても年金は月額21.3万円から23.7万円に増える予定だが、2段階の厚生年金は10.5万円から9.7万円に減る。

年金を増やす原資はどこから出るのだろうか

厚労省の案では、国庫負担と厚生年金の積立金の合計135兆円で赤字を埋める予定である。このため来年度から厚生年金の対象をすべての中小企業(従業員5人以上)に拡大し、パートの主婦など200万人が新たに厚生年金に加入する。

要するに、保険料を年金の問題で取り上げるために、厚生年金の被扶養者を増やし、積立金を取り崩すのである。これにより2036年以降は積立金が少なくなり、年金保険料は税金とめったく同じになる。

厚生年金は死ぬまで元が取れない

これによって国民年金の被保険者が増えることは明らかだが、厚生年金の被保険者はどうなるのだろうか。その損失計算は厚労省の資料にはないが、山田真隆氏の計算では93歳まで元は取れない。このため保険料を15%として計算しているが、企業にとっては事業主負担を含め30%が人件費なので、長期的には30%が厚生年金の被保険者になると考えられる。

このように国民年金の赤字が問題視されているため、厚生年金は増えないという懸念が広がっている。今後の年金法改正については、経済的な安定を求める国民の声が高まる中、政治的な駆け引きが続くことが予想される。