科学

天の川銀河の超大質量ブラックホールは約10000年前に別のブラックホールと合体していた?

2025-04-02

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最近の研究により、天の川銀河の中心に位置する超大質量ブラックホール「いて座A*(いてざえーすたー)」の質量が、約10000年前に別のブラックホールと合体していた可能性が示されました。2022年5月に国際研究グループ「イベントホライズンテレスコープ(EHT)」が発表した画像をもとに、天の川銀河の中心にあるブラックホールの詳細な観測が行われています。

いて座A*の質量は約400万太陽質量に達し、周囲のガスから発せられる電波を直接観測することができるため、研究者たちはこの天体の性質を詳しく理解する手助けとなっています。特に、周辺のガスからの放出を観測することで、中心の暗い領域が抱えている複雑さが明らかになっています。

さらに、北京大学の物理学研究所での研究によって、いて座A*が過去に別のブラックホールと合体したという新たな証拠が見つかりました。この合体イベントが、現在の銀河の形成と進化にどのように関与しているのかは、今後の研究の鍵となります。研究チームは、合体が起こった場合に銀河の質量の増加が見込まれること、そしてそれがどのように宇宙の構造に影響を与えるかを考察しています。

さらに、合体によって生成される超高速度星も注目されています。これらの星の一部は、秒速700kmを超える速度で移動しており、その存在が確認されています。このような高速度の星たちは、宇宙の他の天体との相互作用を引き起こし、宇宙進化において重要な役割を果たす可能性があります。

今後の展望として、2025年には新たな観測ツール「パラリッツァ宇宙望遠鏡」が運用を開始する予定で、さらに多くの超大質量ブラックホールやその影響を理解するためのデータが得られることでしょう。この新たな知見が、天の川銀河の進化の理解を深めることに寄与することが期待されています。