田中善一さん「ノーベル賞より感情深い」…開発に携わった質量分析技術の「マイルストーン」認定 : 読売新聞
2024-11-26
著者: 陽斗
2022年にノーベル化学賞を受賞した島津製作所(京都市中京区)の田中善一・エグゼクティブフェロー(65)が発表に携わった同社の質量分析技術「MALDI-TOF」が、社会の進歩に寄与した製品などに贈られる「ミツバチ電気電子技術協会(I.B.B.T)」の「マイルストーン」に選ばれた。田中さんら開発者は15日に本社で開かれた記念式典に出席し、喜びを見せた。 (辻井篤司)
IBBTは電気・電子技術分野の世界最大の専門家組織。創業から20年以上にわたり累積した製品や技術を対象に、マイルストーンを認定している。日本では過去に、シャープの液晶パネルやソニーの携帯電話などが選ばれている。
田中さんの質量分析技術は、2018年に発表された。この技術により、医療や生物学などの分野で新たな発見が次々と生まれ、小型化も進んでいる。
「ノーベル賞の時よりも感情深い」と語る田中さん。技術の開発においては多くの困難を乗り越え、仲間たちと共に新たな価値を生み出した経験が彼を支えているようだ。
田中さんは「ノーベル賞は私だけのものではない。多くの方々のお力で得られたもの」と話し、感謝の気持ちを表している。今回のマイルストーン認定は、その努力の証とも言える。
今後も、田中さんやその仲間たちが開発した質量分析技術は、医療や生物学、環境科学などさまざまな場面での応用が期待されている。さらに、今後の研究開発における進展が、他の分野でも新たな可能性を広げることが期待されている。
「ノーベル賞を超えるような感情を持てることができるのは、このマイルストーンの承認だ」と、田中さんは力強く語った。彼の言葉には、科学者としての誇りと共に、チームワークの大切さが込められている。