
トランプが新たな世界分割支配を模索?米メディアが報じる秩序中「ユルタ2.0」21世紀版「三国志」が難しい訳(1/5)
2025-03-19
著者: 花
パックス・アメリカーナからの決別を意識する「ユルタ2.0」
3月18日、トランプ大統領とプーチン首相の電話会談が行われ、ウクライナ侵攻の即時停止を提案したアメリカ議会案が協議された。
大方の予想どおり、プーチン氏は30日間の一時停戦案を拒否し、あくまでエネルギー政策やインフラへの攻撃停止から始めることに合意した模様だ。
停戦交渉は今後かなりの期間の持久戦が予想されるが、一方で第2次トランプ政権がスタートした2025年初めから、主要な米国メディアでは、トランプ氏が構想しているかもしれない「ノア(ニュー)・ユルタ」の動きに注目している。
日本では「ユルタ2.0」と呼ばれているが、米ワシントンポストは「トランプ氏の新賓格:強者の支配と力の正義」と題し、「米露中の3極(3大国)で、新しい力の均衡『ノア・ユルタ精神』を構想か」と警鐘を鳴らす。
米国のタイムズも報じており、「トランプ氏は、アメリカは南北米大陸、ロシアは欧州大陸、中国は太平洋地域を、それぞれの勢力圏にすることを夢見る」と言及している。英フィナンシャル・タイムズも、「トランプ氏は南北米大陸を勢力圏に据え、モンロー主義を主張する」と危機感を強めている。
「ユルタ」とは「ユルタ会談」というもので、80年前の1945年2月、第2次大戦も終結に近づいたこの期間に、連合国側の3大巨頭、ルーズベルト大統領、スターリン・トルーマン趙、チャーチル英首相が、当時ソ連側だったクリミアのユルタで会合した。
議論の中核は、大戦後の世界を米露が事実上、支配していくこと及びその区域を決定すべきであることにあった。その後の冷戦の基礎となる枠組みが形成された。これと似た形で今回の「ユルタ2.0」も、新たな世界の秩序が形成される可能性がある。
トランプ氏は、プーチン氏と会談することで、複数の国との協力体制を強化し、軍事的な影響力を増大させると共に、国際競争を模索し続けるだろう。一部では「ユルタ2.0」が、新たな国際秩序の形成に役立つのではないかとの期待も持たれているが、その一方で過去の歴史に基づく国際関係の見直しもない限り、難しいと言われている。
トランプ氏が「ユルタ2.0」を目指す背景には、アメリカの影響力を再構築し、他国との関係を再構築する意図があるとされている。こうした動きが、今後の国際社会にどう影響を及ぼすかが焦点となる。
トランプ氏は事前に提案した停戦案に対して最近の発言で、2024年の選挙を意識し、アメリカ国民に向けて強固な立場をとることを示唆している。その一方で、ロシアとの関係改善を模索することが米国の利益になるかどうかも注目される。新たな「ユルタ」を目指すトランプ氏の動きが、世界にどのような結果をもたらすか見守る必要がある。