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トランプ関税の「モラトリアム(猶予期間)」で考えるべきこと〜変動と状況変化のアンバランス〜(土信田雅之)

2025-04-10

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米関税政策に伴う激しい変動

今週も、米トランプ政権の関税政策に伴う動きが証券市場を大きく揺るがしています。特に注目されているのは、最近公開された中間報告です。これは前回レポートのテーマでもあった「相互関税」に関するものです。

想定よりも厳しい内容となった相互関税の発表(日本時間4月3日の午前5時)を受けて、すべての下落していた日経平均株価ですが、先週末には、中国が「売られた銘柄は買う」という格好で、米国に対する報復措置を打ち出したこともあり、米国市場が急落し、その流れで週初めの7日(月)の日本市場の平均も大きく下がり、過去3番目となる下げ幅(2,644円)となりました。

続いて、8日(水)の取引では、直接的な株価急落による下げ幅(1,876円)となり、続く8日(木)の取引でも、米相互関税の「上昇分」が発動されたことにより、1,298円を超える下落に転じています。

米トランプ政策の影響と今後の動向

その中で、米トランプ政権が、発動した上昇分の関税に対し、90日間の一時停止が発表され、9日(水)の日経平均株価が大きく反発することがありました。しかしながら、受けた10日(木)の日経平均も過去2番目となる上昇幅(2,894円)を見せていました。

このように、今週の日経平均の動きは連日の4桁の株価変動が続き、株価の上げ下げが極端な激しい動きが目立っています。

投資のスタンスと今後の不安定性

そのため、90日間のモラトリアム(猶予期間)が与えられたことにより、金融市場をめぐる過度な不安が後退し、与えられた期間が注目されているところです。

一方、それによって相互関税の「90日間のモラトリアム」が与えられたという事実が、金融市場を覆う経済の不安定さをもたらす要因となるかもしれません。トレーダーや投資家は「取り引き開始から30分以内にその日の高値(安値)圏まで動いた」と話し、利益確定を急ぐ状態も見受けられます。

そのように、今後の市場の見通しでは、異常な高騰や下落につながる不安定な状況が続く可能性があることを念頭に入れておく必要があるでしょう。

過剰な動きが観測される中で、依然として株価の持続が続くかどうか、判断を促される局面が来ることも予測されています。

不安定な投資スタンスのキャッチアップと市場動向

このような状況が続く中で、今後の市場動向には引き続き注意が必要です。特に、取引開始時の株価が反転する余地があることからその変動を捉えていくことも一つの手法となるでしょう。関連の動きなどに暗黙のうちに参加し、相場の変化に乗る姿勢が求められます。

最後に、11日(金)には、株価指標mini先物取引およびオプション取引のSQ日であり、ここで得られる結果を注視しながら、今後の市場の動向を見定めていく必要があります。