科学

星の爆発を誘発するブラックホールの神秘。その真相に迫る

2024-10-12

著者: 愛子

ブラックホールから光速で物質が放出される現象、ブラックホールジェット。このジェット流が、星の表面で爆発を引き起こしていると言われています。

恐ろしい。こんなことがあったらたまったものじゃありません。

誘発される白色矮星上の爆発

爆発が誘発されている星は、炭素を燃焼し過ぎた巨星である白色矮星です。ジェット流が直接叩き込まれているわけではないようですが、その近くにあるだけで爆発が誘発されているようです。

この現象が起きている白色矮星には、隣にある星から水素が引き込まれています。そして星の表面に約1マイル厚の水素の層が作られ、その後爆発するというサイクルが繰り返されます。

「何が起こっているのか分かりませんが、とても興味深い発見です」と、スタンフォード大学の天体物理学者であり、本研究の筆頭著者であるアレク・レシン氏は述べました。

今回の研究は「The Astrophysical Journal」に登録される予定で、現在はプレプリントサーバーarXivに掲載されています。

ジェット流の近くで2倍の新星を確認

研究チームは、超大量ブラックホールを中心に持つM87銀河内の135の新星(星が急激に明るくなり、後に暗くなる現象)を調査しました。M87は太陽の65億倍の質量を持ち、2019年にインパクト・グレイシャン・テレスコープが、初めて人類史上で撮影に成功したブラックホールです。

チームは、M87にある約3,000光年の近くの新星の中から、他に比べて2倍の数の新星を発見しました。

ハブル宇宙望遠鏡が直接撮影したM87のジェットは、青い光の線のような形をしています。画像ではかなりあからさまですが、星の爆発を何からの方法で誘発している、超高温で光速に近い速度で進む粒子の集合体です。

レシング氏は以下のようにリリースで述べています。

「周辺の星にジェット流が影響を及ぼしているようです。おそらくジェット流が、何らかの方法で白色矮星に水素をぶち込み、それにより爆発が起きているのではないかと考えられます。」

しかし、物理的に水素をぶち出しているとは限らず、ジェットから発生した光が圧力となり、水素をぶち出している可能性もあります。

高性能なハブル宇宙望遠鏡の加護で、これまでよりも詳細にM87を観測できるようになりました。

最新の区別の研究では、観測史上最大のブラックホールジェットが発見され、多数の銀河を端から端まで繋げた長さに相当するブラックホールジェットが発見されました。

これまであまり注目されていなかったブラックホールジェットですが、これを機により深く掘り下げられ、天文学の中で重要な研究対象となるでしょう。

これからの研究に期待が高まります。