
【研究成果】膵臓のβ細胞からアルツハイマー病を抑制する原因が発見されることを発表しました
2025-03-21
著者: 結衣
本研究の結果のポイント
膵臓のβ細胞から神経保護因子が放出されていることを見出し、それがアルツハイマー病の進行を抑制する可能性があることを突き止めました。
概要
北海道大学大学院医学系研究科の小淵裕介教授および京都大学医学部の細井陽子准教授らの共同研究チームは、膵臓β細胞からアルツハイマー病に関与する神経保護因子の放出が確認されたことを発表しました。
これまでの研究から、アルツハイマー病の進行を抑制する因子が何であるかが分からずにいましたが、本研究によりβ細胞から分泌されるFGF23が神経保護因子であることが示されました。具体的には、FGF23がβアミロイドの障害に対する神経細胞の死を減少させることが明らかになりました。
この発見は、アルツハイマー病の進行を遅らせる新たな治療法を開発する上でも重要な意義を持つと考えられています。さらに、科学界におけるアルツハイマー病研究の革新を促進する可能性も秘めています。
アルツハイマー病について
アルツハイマー病とは、記憶力や思考力を低下させる神経変性疾患であり、日本では約79万人が現在この病気に苦しんでいます。新しい治療法の開発は急務であり、本研究の成果がその一助となることでしょう。
今後の研究
また、我々はFGF23のメカニズムを更に解明すべく、今後の研究に取り組む予定です。この研究成果は、2025年1月28日に「PNAS Nexus」に掲載される予定です。
膵臓の健康とアルツハイマー病
日本国内では、糖尿病患者が増加しており、糖尿病はアルツハイマー病のリスクを高める要因とされています。そのため、膵臓の健康を保つことが、間接的にアルツハイマー病の予防にもつながる可能性があると期待されます。
新たな治療法への期待
また、アルツハイマー病の進行抑制に向けた新しいアプローチが求められる中、膵臓β細胞からの因子FGF23のメカニズムが解明されることで、生活習慣病とも密接に関連した新たな治療法の発見が期待されます。この次世代の治療法は、アルツハイマー病だけでなく、糖尿病や他の慢性疾患にも有効かもしれません。早期の研究進展が望まれています。