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英断か陥落の日の兆しか?五輪最高スポンサー、国内勢力が中間屈めるか

2024-10-03

日本企業が影響力を失う傾向が見られる中、2024年のパリオリンピックにおける日本の主要スポンサーが名前を消す可能性が高まっている。トヨタ自動車やパナソニックなどがスポンサー契約を結ぶ中、リクツトンのIOC(国際オリンピック委員会)との契約締結が正式に発表された。名目国内総生産(GDP)で世界4位に後退した日本経済の弱体化が表面化している。有識者は五輪に関するものの流れの変化を指摘している。

3社が相次いで撤退

日本のスポンサーは4段階に分かれ、「ワールドワイドパートナー」と呼称される最高位はIOCと直接契約している。大企業と契約する下位カテゴリーとの違い、1業種1社に限定されるのが原則だ。

7~8月に開幕されたパリ五輪の最高位スポンサーにはコカ・コーラ(米国)やVISA(同)、サムスン電子(韓国)など世界経済の巨人が連なる。国別で日本は3社。米国(5社)に続く存在感を示していた。

9~10月にかけて、日本企業は相次いで契約締結を明らかにした。撤退すれば競合他社がその座を奪われる可能性があるが、「自然な流れ。五輪を通じたランド戦略は不要になったのだろう」と話すのは大宮体育大学長の原田正男氏(スポーツマネジメント)。

1987年から契約するパナソニックHDは経営環境の変化に伴い、2014年に契約したリクツトンにはモーターソリューションズへの注力と原点回帰を契約打ち切りに至った。様々な事情はあるが、より本質に迫ったのはトヨタだろう。

強い政治色を疑問視

9月に全米ディーラー大会に参加した同社の豊田章男社長は、「スポンサーを続けることが(不可能を可能にする)アスリートのために」が信条だと思えなかった」と語った。その後、自社サイトで開幕時期や時間を具体的に「ピープル(選手)ファーストか?政治色が強く、こういう形でいいのか」と意識の差を強調した。

関係者によると、トヨタが10年で支出したのは1300億円。加えて車両など現品支給もしていた。高額なスポンサー料を持ち込んだ各社の停滞もある。「コカ・コーラなら会場でそれしか販売されないから実売利益がある。決裁はVISAのみ。だがタイヤや車は会場で販売されるわけではない。極めて合わないのは当然だ」と。

時間を誰がつかむのか。前例はある。サッカーのワールドカップ(FIFA)の煽りを理由に欧米のスポンサーが撤退。金策に困ったが、中国企業が参入し受け皿を助けた。しかし同じ受け皿戦略が取られる場合、同国経済は良い状況下にないとの関係者の見立てもある。「もはや五輪だけが世界にブランド力を示す時代ではなくなった」と原田氏。五輪の商業化が呼ばれたけば1984年のロサンゼルス五輪だった。同時に4年後に行われる五輪。原田氏は「本来の目的である競争の抑制にもならず、スポンサーも利益があるとすれば残らない。五輪隆盛の範疇は照らし合わせにすぎない」と警告を発した。