科学

中国の衛星、"星より明るすぎる"星空観測に影響か 74000基の打ち上げ計画中、最初の18基で国際天文学連合が発表:Innovative Tech

2024-10-10

著者: 芽依

国際天文学連合(IAU)に所属する研究者たちが発表した論文「Qianfan Satellitesの明るさ」

国際天文学連合(IAU)に所属する研究者たちが発表した論文「Qianfan Satellitesの明るさ」は、8月に打ち上げられた中国の衛星の明るさを調査した研究報告である。これらの衛星は、その明るさが減少しない限り、天文学研究や夜空の美しさの観測に悪影響を与える可能性がある。

マルチプラットフォームの構築

中国政府が支援する上空スポーツコム衛星技術(SSST)が計画する74000基の衛星からなる「マルチプラットフォーム」(100基以上の小型衛星を運用し、データや通信の収集・利用を行う事業)の構築が始まった。しかし、最初の18基の打ち上げのみで、天文学者から懸念の声が上がっている。

「Qianfan」と呼ばれるこのマルチプラットフォームは、地上にインターネット接続を提供することを目的としており、すでに6000基以上の衛星を展開している米SpaceXのStarlinkに対抗するものとされている。

衛星の配置と明るさの変化

Qianfan衛星は、地球の赤道に対して89度傾いた軌道に配置され、その高度は7400kmである。これはStarlinkの低軌道衛星とOneWebの高軌道衛星の間に位置する。

8月12日から9月8日まで行われた観測では、Qianfan衛星の見かけの等級が天頂付近で4等級、空の低い位置で8等級の範囲に及んでいる。この明るさの変化は主に衛星までの距離の違いによるもので、天頂に近いほど距離が近く、逆に地上からの距離が短く見えるという。

明るさの要因

物理モデルの分析によると、Qianfan衛星の明るさは主に2つの要素によって説明できる。一つは地球に向かう平らなアンテナ、もう一つは天頂に向かった太陽電池パネルの裏側である。両方のパネルがランバート反射特性を持つと仮定すると、観測結果とよく一致する。

天文学的影響

Qianfan衛星の明るさは、天文学的観測に深刻な影響を与える可能性がある。例えば、ルビー式天文学台が計画している「Legacy Survey of Space and Time」(LSST)プロジェクトでは、7等級より明るい衛星の軌道を画像から効果的に除去できない可能性が指摘されている。

一方、肉眼での観測限界は約6等級である。Qianfan衛星は、空の低い位置で観測される場合、6等級より明るいため、プロフェッショナルな天文観測だけでなく、アマチュア天文学者の活動や一般市民の星空観賞にも影響を及ぼす恐れがある。

今後の計画

さらに、Qianfanの運用計画では、最終的に衛星を5000kmと300kmの軌道に配置する予定である。そのため、低い軌道に配置される場合、衛星はさらに1~2等級明るく見える可能性がある。これが実現すれば、観測者への影響は一層大きくなるだろう。