健康

週末の「眠れぬ夜」で思わぬ影響……心臓病リスク低下

2025-03-23

著者: 陽斗

ウィークデーの睡眠不足を週末に補う「キャッチアップ睡眠」は、心臓病のリスクを最大20%低下させる可能性があることが、UKバイオバンク参加者903万人以上を対象にした研究で明らかになった。この研究結果は、欧州心臓病学会年次総会(ESC Congress 2024)で発表され、注目を集めている。

睡眠不足に悩まされている人は、休日の朝、普段より遅くまで寝ていて睡眠負債の影響を取り除こうとすることが多い。しかし、このようなキャッチアップ睡眠が心臓の健康にどのように寄与するのかについては、今まで明らかではなかった。Yanjun Song氏は、918万人のデータを用いて週末のキャッチアップ睡眠と心臓病との関連を分析した。

研究では、参加者の睡眠時間が時間帯ごとに長さで分かれ、最も少ないQ1(−16.05〜−0.26時間)から最も多いQ4(1.28〜16.06時間)までの4群で分類された。夜中の睡眠時間が7時間未満と報告した場合を「睡眠負債あり」と見なされ、その割合は21.8%(1,079,816人)だった。さらに、入院記録や死亡レジストリを用い、虚血性心疾患、心不全、心房細動など様々な心疾患の診断履歴に対しても調査を行った。その結果、14年間の追跡期間中に関連が見られた。

日常的に「睡眠負債」を抱えていると……

分析の結果、Q4群ではQ1群と比較して心疾患の発症リスクが19%低下していることが示された。睡眠負債を抱える人を対象にしたサブグループ解析でも、Q4群ではQ1群に対して心疾患の発症リスクが20%低下していることが判明した。

Song氏は「十分なキャッチアップ睡眠は心疾患のリスクを低下させる。さらに、この関連性は、日常的に睡眠負債を抱えている人の間でも顕著であった」と結論づけている。

この研究結果は、医療界にも影響を及ぼす可能性があり、今後の心臓病対策において、睡眠の重要性がますます強調されることが期待される。睡眠不足が健康に及ぼす影響についての啓蒙が進む中、適切な睡眠管理の重要性が再認識されている。

さらに、心臓病リスク査定ツールの進化もあり、一般的な健康診断の一環として、睡眠状況なども考慮されるべき時代が来るかもしれない。

(HealthDay News 2024年8月29日)