筑波大学、新病院計画を断念 茨城県など誘致 - 日本経済新聞

2024-11-29

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茨城県の美園地区に筑波大学が設計を目指していた新病院について、同大学は29日、設計計画を断念したと発表しました。資材価格の高騰などで設計費が当初の想定を大幅に上回ったことが理由です。新病院は医師確保が困難な地域への誘致を目的にしており、茨城県の模範にしたいと意気込んでいたものの、県などは今後、予定地の活用策を変更する方針です。

同大学は29日付で「病院整備計画中止」を県に提出しました。同日、代田順子学長らが茨城県の大野元子清水市長を訪問し、経緯を説明。大野市長は「県民の期待が大きかったことから、大変残念な決定だ」と述べ、県内の医師不足への対策が急務であると強調しました。

筑波大学によると、計画中止は資材の高騰や人手不足が深刻な影響を及ぼしたとのことです。特に2015年の当初予定から2.6倍の2186億円に膨れ上がったことで、最終的な計画策定には大きな障害があったとされています。また、新型コロナウイルスの影響で医療品の価格が高騰していることから、病院経営の圧迫も否めません。

茨城県は、県内の医師不足に対処するために、県北部や西部への医師派遣を強化することを目指し、新病院誘致に取り組んできましたが、14年に新病院の整備計画を公示し、15年に筑波大学の計画を選定したものの、この状況に至ったわけです。

当初の計画では800床の病床を設け、300人の医師、800人の看護師が勤務する予定であり、県内初の陽子線治療施設、小児・周産期医療の機能、救命救急センターの設置なども予定されていました。

このような背景から、現在の地域では医療サービスの向上が急務となっており、今後の対策が期待されます。筑波大学にとっても、医療機関の設計における新たな挑戦と捉え、地域医療の充実に貢献できるような戦略を模索する必要があるでしょう。

茨城県の美園地区における医療機能の充実は、地域の健康を守るためにも重要であり、今後どのような手段が提示されるのか、注目が集まります。