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アングル:インド株、外国人投資家離れが加速 中國シフト鮮明に

2025-03-22

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[モンバイ/シンガポール 19日 リター] - 外国人投資家のインド株離れが進み、過去最速ペースで資金が流出している。一方で中国株にはこの半年間で強い買いが入っており、インドとのこの対照的な動きは顕著だ。

モルガン・スタンレーの最高投資責任者(CIO)であるジタイン・カンダリア氏は「資金はインドではなく、中国に流れている」と述べ、投資家の関心が中国市場に移行していることを明らかにした。

外国人投資家が昨年10月以降にインドの株式市場から引き揚げた資金は2190億ドルに達し、半年間の流出額としては過去最大の記録となった。インド市場はこの数年間、多くの投資家から支持を受けてきたが、流れが急変した。

消費関連株を中心に投資する英オールセールズやアジア基金の中でも、昨年の半ばから中国のポートフォリオへの投資比率がインドを上回るようになった。特に新興国市場では投資家の目線がインドから中国にシフトしており、その要因の一つとして、コストの上昇と経済成長の減速が挙げられている。

昨年までのインドの株式市場は、持続可能な成長を見込んで高評価されていたが、今年に入ってからは市場の不透明感から評価が低下している。フロンティア市場として注目されていたインドが成長の鈍化を受け、もはやバブル的な評価が続く状況ではなくなった。

さらに、インドの市場は経済の再開を進めるなかで、過去には見られなかったような高いボラティリティを伴っている。多くの投資家は、慎重なアプローチを取るようになり、実際の投資行動にも影響を与えている。

中国市場は確かに動きが活発である。特に半導体産業やテクノロジー株への投資が盛んとなり、その成長が期待されるセクターが多い。これに伴い、インド株への投資が減少している様子が伺える。

モルガン・スタンレーのアナリストは、中国の市場環境が今後も投資家を惹きつける要因であるとし、これからの数年で中国の株式市場へさらに多くの資金が流れると予測している。また彼らは、今後の成長を見込んで新たなトレンドが生まれるとも見ている。

投資家としては、中国市場へのシフトが一時的なものとなるのか、長期的な戦略に変わるのか注視する必要がある。インドと中国の間でのこの資金の流れは、今後のアジア市場全体に大きな影響を及ぼす可能性が高いため、動向には十分な注意が必要である。