健康

肥満者の9割が「自己責任」と回答 | 専門家「個人の責任ではない」

2025-03-19

著者: 愛子

日本における肥満症患者の約9割が、自身の肥満の原因を「自己責任」と考えていることが、製薬会社の意識調査で明らかになりました。肥満症は、遺伝的要因や環境要因、社会的要因が複合的に関与する病気ですが、依然として個人の努力によるものと捉えられがちです。

肥満は単に体重増加(BMIが25以上)で語られるものではなく、高血圧や糖尿病、心疾患などのリスクが高まることから、注意が必要です。これらの疾患は、生活習慣の見直しだけでなく、医療的な介入が求められるケースも多いです。

調査は、日本イーライリリーと田畑三郎製薬が2024年11月に実施したもので、肥満症患者だけでなく、一般の生活者1600人からも作成した回答が得られました。

興味深いことに、患者の87%が「自分の責任」と回答したのに対し、「他の疾患と同様に治療が必要」と答えたのは78%でした。また、64%の医師が「患者の責任」と考える一方で、約6%の医師は「100%患者の責任」と見なしているとの結果も出ました。

日本肥満学会が2022年に発表した「肥満症診療ガイドライン」では、肥満症は遺伝的要因や環境の変化、社会的な要因の影響を受けて発症することを指摘しています。このような理解のもと、患者が抱える心理的障壁や生活環境の改善が重要であるとされています。

周囲の環境や支援も、患者の治療において大きな役割を果たすことが多いです。約47%の回答者は、「現状に満足していない」と回答しており、改善に向けた支援を求めています。医療従事者も、治療において社会的要因を無視することはできないと考えています。

この問題に対し、専門家は「肥満は個人だけの問題ではなく、社会全体の責任である」と指摘しており、公共政策や社会システムの改善が求められるところです。昨今、地方自治体でも食習慣の見直しや肥満改善プログラムを導入する動きが広がっています。

肥満に対する認識の変化が、今後の治療や予防策に大きな影響を及ぼすことが期待されます。