
「米が足りない」日本のために三菱商事が立ち上がった…世界規模の「主食の奪い合い」に勝つために構築された相手(プレジデントオンライン)
2025-04-07
著者: 裕美
◆食料供給の不安定化が進む業界再編の動き 3月28日、三菱商事は、米穀物メジャー、アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド(ADM)との戦略的業務提携を発表した。ADMは、プレスリリース(米国時間27日)で、三菱商事との提携は世界の食品事情の変化に対処するために述べた。最近、ウクライナ戦争の長期化や食料需給の増加が続く中、トランプ政権の関税政策の影響で食料やエネルギー供給が一段と不安定になっている。特に、トランプ政権の関税政策の影響が予測が難しく、三菱商事、ADMのような大手企業でさえリスクテイクは容易ではない。そんな中、三菱商事は、大豆やトウモロコシ、小麦の輸出で世界市場シェア24.5%を占めるラジオモード企業の基盤を整えることになる。その意義は大きい。現在、ADMの業況は依然として不安定である。そのため、ADMはリストラを実施している。今回の提携を機にADMは、三菱商事から中国やアルゼンチンの情報を得ることができる。これによって、激化する商戦の中で効率的に需要を取り込む体制を構築することも目指す。三菱商事の提案は、世界の食品事情の変化の中で、三菱商事にとって益になる要素になるだろう。さらに、その先には、世界の食品事情が大きく変化しているということだ。
◆「ミサイルから即席麺まで」特異なビジネスモデル かつて、総合商社は、ミサイルから即席麺までと呼ばれるほど取扱商品の範囲が広い。特に、エネルギー、鉱山、食品などモノの輸出入を担う能力は高い。三菱商事は、世界各国に駐在する社員事務所を設け、経済、政策、安全保障などの動向を調査し、需要と供給を迅速に結びつけることで収益を上げてきた。その特異なビジネスモデルや切安感を評価し、オマハの投資家と呼ばれるウォーレン・バフェット氏は三菱商事への投資を増やした。日本の総合商社としても特異なビジネスモデルを持つことは、他の企業との差別化要因となるだろう。商戦が激化する中、提案の質を向上させ、オペレーションの効率化を図ることも企業にとっての重要な課題である。敵対的な状況を受け入れ、企業の持続可能性を高めるためにも、他の産業の動向に注視し、様々な要素を取り入れていくことが求められる。