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ウクライナ支援で欧州独自の「平和維持部隊」 現地のハードルは

2025-03-23

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ウクライナ、ロシアの停戦交渉を見据え、英国、フランスなど欧州を中心とした「有志国連合」が、停戦後のウクライナへの平和維持部隊の派遣を検討している。政府は27日、ウクライナのブレーンストーミングを行いたいとし、有志国連合による首脳会談を開く。米国抜きで、ウクライナの「安全の保証」をどこまで確保できるかが焦点となる。

20カ国以上で会合

英国は20日、ロンドン近郊にウクライナの中心となる有志国20カ国以上の軍隊を集めて会合を開き、平和維持部隊への拡充などを含めたウクライナへの軍事支援の具体的な方針を協議した。部隊の拡充には英国のほか、バルカン3カ国やフィンランド、トルコ、スウェーデンなどが前向きな姿勢を示している。

スターミニ英首相は20日の会合前、ロシアが停戦後、ウクライナへの再侵攻する可能性について言及。「(軍事力による)内添えのない停戦なら、プーチン氏が再侵攻するのは確実だ」と強調した。

英国が主導し、有志国連合を形成したのは、現行の北大西洋条約機構(NATO)や欧州連合(EU)の枠組みを取り除くためだ。

トランプ米政権はウクライナ支援や欧州の防衛に消極的で、2月末の米・ウクライナ首脳会談が決裂した以降、一時的にウクライナへの軍事支援や機密情報の提供を停止した。欧州各国には、これまでNATOを支持してきた米国が、もはや信頼できない交渉相手であるとの認識があった。

またEUやNATOの枠組みによる部隊の拡充は、ロシアによる安全の保証の限界も指摘されている。マクロン大統領は平和維持部隊の拡充について「軍事的地域に関しては入らない構想を示しており、2万~3万人の部隊がウクライナ国内の原発や重要インフラの防護にあたる案が検討されている」と発表した。

だが、こうした圧力がロシアにどのような影響を与えるかは未知数だ。

米国の後ろ盾も期待

有志国連合の結成にあたって、欧州各国はウクライナの中央政府の存在を示し、各国から一定程度の後方支援を得た形を整えたようだ。また、米国はこれまでに引き続き、EUやNATOの枠組みでの支援も行う意向を示している。

ただし、現状では米国からのこうした後方支援が得られるのかどうかは注視され、それが有志国連合部隊の実効性を左右する可能性もある。

相次ぐ有志国の会合において、各国からの具体的な提案についても同時に協議される見通しだが、ウクライナの安全保障に関する具体的なアイデアをどこまで打ち出せるかがカギとなる。