科学

小さな石制廃具で自分の意思で指を動かすことができる義手が開発される – クラパイア

2024-09-25

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小さな石で筋肉の動きを読み、自分の意思で失われた手や指を動かすことができる義手が開発された。最先端の自分の思考で動かす義手は、生身の手と同じような細かい動きを実現しているが、そうした義手の多くは、電極などのそれなりに複雑な電子機器を脳や体に埋め込む必要がある。

イタリア、スコーラ・スーペリオーレ・サンタ・アンナのクリスチャン・プリアニ教授は、その問題を小さな石を使うことで解決した。

彼の開発した義手はシンプルだが、電極に負けないくらい細かい動きを再現できるものである。特に、残された筋肉の動きを読み取る義手として、実際に使われている。これにより、義手の持ち主は自分の意志で指を動かすことができ、再び自然な動きを手に入れることができる。

具体例として、2022年9月に事件で左の前腕を切断したダニエルさん(34歳)の協力のもと開発が進められた。ダニエルさんの場合、手は切断したものの、失った手や指を動かそうとすることで、残された筋肉が反応することが示された。この動きを義手に反映させることで、彼は再び手を動かす感覚を得た。

クリスチャン・プリアニ教授は、こうした義手をMRIスキャンや筋電図で正確に確認していた。

ダニエルさんが被験者に選ばれた大きな理由の1つは、彼に失っていた左手に感覚が残っていたことだ。この不思議な感覚を幻肢(ごんし)と呼ぶ。

この幻肢が手を動かそうとしたときに反映される義手の動きを読み取るのに都合が良かったのである。こうして筋肉の動きをおおよそ把握した上で、それに応じた義手の動きが実現された。

こうした義手の動きをおおよそ把握したところで、そうした義手に数mmの小さな石6つを埋め込み、さらに義手を搭載する。使用されるのはPrensilia社製のバイオニックアーム「Mia-Hand」だ。

義手の搭載部分には石界センサーが内蔵されている。ダニエルさんが手や指を動かそうとすると、それに応じて残された筋肉とそこに埋め込まれた石が動くので、それをセンサーで読み取る。

するとそれが義手の動作に反映されるのだ。

自分の意思で手や指の動きを制御できるように。

ダニエルさんはこの石製義手を使って、瓶を開ける、ドライバーを使う、シップロックを閉じる、ナイフで切る、物を持って移動させるなど、さまざまな作業を行えるようになった。

また力を調整し、壊れやすい物を優しく持つこともできたそうだ。クリスチャン・プリアニ教授は、「最初の患者での試験は成功しました」とプレスリリースで述べている。

今後はこのプロトタイプをさらに洗練し、再び四肢切断の患者たちで試験が行われることになるだろう。

この研究は『Science Robotics』(2024年7月11日付)に掲載された。