現代の科学が解明した「脳内コンパス」の存在。この驚くべき研究は、私たちの行動や選択がどのように脳によって導かれているかを示唆しています。英バーミンガム大学心理学部のベンジャミン・グリフィス教授は、特定の脳内活動が私たちの方向感覚や意思決定において重要な役割を果たすことを明らかにしました。

グリフィス教授によれば、個々の脳内での自己の位置を特定するための「コンパス」が存在し、これが日常の判断や行動に影響を及ぼす可能性があるとのことです。具体的には、脳の「背内側前頭前野」という領域が、空間的な指向性や自己の認識に関与していることがわかりました。この研究結果は、2023年5月6日に「Nature Human Behaviour」に掲載されています。

さらに、動物における脳内コンパスの機能も研究されており、鳥類やナスミミなどがどのようにして正確なナビゲーションを行っているのかがわかっています。人間の脳も同じように、周囲の環境に対応して自己の位置を把握し、次の行動を決定しています。

今回の研究では、52人の参加者を対象に、脳波（EEG）を用いて脳の活動を測定しました。その結果、自己の位置を把握する能力と脳内の活動が相関していることが確認されました。特に注意が必要なのは、どのように自己の方向を認識し、周囲の変化に適応しているのかを理解することです。

グリフィス教授は述べています。「自己が向かう方向を把握することは非常に重要で、これが少しでもどうかした場合、気持ちに大きな影響を与えることがあります。この能力を理解し、活用することで、私たちの生活はより豊かになる可能性があります。」

この研究によって、我々が普段どのように自分を認識し、判断を下しているのかを深く探求することができるかもしれません。今後の研究展開が期待されます。