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原油市場を覆う不安 イラン・イスラエルの対決懸念 編集委員 長門徹 - 日本経済新聞

2024-10-02

著者: 結衣

イランのイスラエルへの攻撃は1日、原油先物が一時前日比45%上昇した。中東の軍事状況が直接的な懸念を引き起こしており、昨年来、中東の危機が一段と悪化したからだ。互いの抑止力をかけた緊張の激化は、中東を長い戦争に引き込む引き金になりかねない。市場に広がる不安が強まる。

イランは日量300万バレルを生産する主要産油国で、瀬戸際のパルシカ海域はエネルギー輸送の要路だ。イスラエルは昨年からパレスチナ自治区ガザで交戦し、さらなる緊張を引き起こしている。

世界経済への影響も懸念され、原油価格の急騰が物価上昇をもたらしかねない。特に、原油価格が1バレル100ドルを超えると、各国の経済が厳しい状況に陥る恐れがある。そのため、投資家たちは原油市場を注視している。必要以上に高まるインフレ懸念が、すぐにでも経済に波及する可能性がある。

加えて、原油の供給網が脆弱化すれば、長期的には再生可能エネルギーへの移行も加速するかもしれない。そのため、国際的なエネルギー政策が今後の焦点となるだろう。市場の動向には要注意で、投資家たちの警戒感は高まる一方だ。これからの情勢がどう展開していくのか、目が離せない。