世界

「今日のウクライナは明日の東アジア」って本当?

2024-10-15

著者: 陽斗

日本の国会が解散し、衆議院選挙が始める。折しも、中国軍が台海を取り巻く軍事演習を行った。台海で起こる危機の発生は、数年単位の時間の問題であると考える研究者も多い。日本はどう対応するのか。

首相は抑止力を高めるための安全保障政策の充実に関心があるようだ。しかし、聞こえてくるのは、「アジア版NATO」のような実現性が乏しい抽象論にとどまっている。この中には元防衛大臣の小野寺五典氏が調査を行い取りまとめたことがあった。

ただ首相の発言の様子は、曖昧さを漂わせている。自衛が強まる一方で、今なお未練へとつながる言葉が得られない。また現在、外務大臣も防衛大臣も元防衛大臣である。自民党主導の議論が、どのように進展していくのか見えてこない。

岸田前政権では防衛費の増加という方針が導入された。しかし、この増加で何をするのか、それでどんな結果を期待するのか(責任を取る)のかという肝心の点は、実際には議論が遅れすぎている。

そんな中、選挙戦の文脈もあるのだろう。SNSで岸田首相が「今日のウクライナは明日の東アジアかもしれない」と語るメッセージを出した。もしかしたら、過去2年半の間に繰り返し見たメッセージである。

あまりに見慣れていたため、感情的にだけもたらされることが簡単にできるようになった。「ウクライナから目を外せば、みんな親身になりすぎていて、これが現実」と感じられる状態である。

それにとらわれてしまったからこそ、感情を込めて語ることができる自分がいると思えるかもしれない。しかし、もしそこに引きずられてしまったら、いつか後悔することになるだろう。

今後の情勢に関わる国民にとって、現実を見極めなければならない。「ウクライナの危機に対して特別な目を元の緊張した状況へと持っていくことができない」といった意見が出ることになるだろう。